現在はものすごい数のプラグインが発売されていますよね。プロのレコーディングエンジニアも多くのプラグインを所有している方が多いです。
ただミックスダウンで毎回全て使うかと言われれば、そんな事はもちろんありません。音作りで使うエフェクトは意外と基本的なものしか使っていないケースも多いのです。
今回はプロのエンジニアがミックスダウンで必ず使うプラグインのカテゴリー/ジャンルを紹介していきたいと思います。
知っておけばMIXの時にプラグインを選ぶ指針の1つになると思います。
●ミックスダウンに必須の4種
MIXのベーシックな音作りは、この4種類でできると思います。もちろん他のプラグインも使っていきますしエンジニアによって必須なものは多少変わってくるとは思いますが、基本軸は共通だと思います。
私は大体MIXの70〜80%はこの4つのカテゴリーのプラグインやアウトボードで処理しています。
コンプ
何はなくともコンプ/リミッター。録音時にも使うことが多いエフェクトですね(かけ録りではアウトボードの割合が高い)。
コンプ/リミッターはすごく簡単に言うと『大きい音が入ったら下げる』という動作をするエフェクトです。そう聞くとシンプルですが非常に奥が深く、また極めていくには時間のかかるものです。
ミックスダウンでは、
- ボーカルや生楽器のように音量差が大きいパートにかけて音量を安定させる。
- アタック/リリースTimeの設定で音の前後感や残響感をコントロールする。(※1)
- アタックTimeの調整により音色や倍音もコントロールできる。(※2)
- リミッターにより極端なピークを抑える。
- 実機エミュレートしてあるものは特有の色付けも得られる
といった様々な効果を狙ってパラメーターを調整します。
使いこなせばリバーブ(※1)やイコライザー(※2)的な効果も出せる非常に重要なエフェクトです。
EQ/イコライザー
パートの周波数特性をコントロールするもので、
- 各楽器の大胆な音色作り
- 各楽器の分離感のコントロール
- 縦の位置(周波数)の調整
等の調整でミックスを仕上げていきます。
使い方に決まりはないですが、『楽器的な音色作りではブースト(増幅)/カット(減衰)両方向』、『各パートの分離感の調整ではカット方向』で使うことが多いですね。
イコライザーもコンプ同様、録音時にもハード機材でかけ録りするケースも多いエフェクトです。
ディレイ
空間系エフェクトで簡単にいえば『やまびこ』効果を作り出すシンプルなエフェクトです。
しかし、
- はっきりとかけてエフェクティブなディレイ効果
- 隠し味的にかけて音に広がりや厚みを出す
- Timeをモジュレートさせてコーラス/フランジャー効果
- テンポとシンクロさせてGroove感を出す
というように、様々な効果が演出できます。
ちなみに私はリバーブかディレイ、片方しかMIXで使ってはいけないと言われたらディレイを選びます(そんな事言われることはないですが…笑)。なぜならリバーブ感のコントロールは先ほど書いたようにコンプでもある程度は可能だからです。
リバーブ
ミックスで残響、広がり、距離感を演出するエフェクトで歌ものでは特に必須です。
- 音に広がりや奥行きを加える
- 隠し味的なリバーブでオケになじませる
- サンプリングリバーブで空間の鳴りを付加させる
リバーブによっては声や音に『艶、しっとり感、キラキラ感』等の質感を加える事もできます。またEQやコンプ、ディレイといった他エフェクトと組合せて使う事が多いですね。
最近は比較的ドライな音作りが主流ですが、そういった音作りでもリバーブは重要なエフェクトです。一聴ドライに聴こえるようなパートでも的確なリバーブ処理があって歌や楽器が『上手く、またプロっぽい音』に仕上がります。
まとめ
以上、ミックスダウンに不可欠な4つのプラグインのカテゴリーを紹介しました。
もちろんこれ以外にも多くのエフェクトを使用しますし、挙げていけばキリがないですが、、、ミックスダウンで軸になるのはこの4つになると思います。
最低限この4つの種類のエフェクトがあれば聴かせられる2MIXを作る事は可能です。ミックスの初心者の人や中級者以上でもミックスがうまくいかない時は、ひとまずシンプルに4種だけを使ってミックスダウンしてみてはいかがでしょう。
エフェクトの種類が限定されている分、音に集中できますし新しい着眼点が見つかるかもしれません。
ぜひ試してみて下さい。